フラワーアレンジメントの心理学

臨床心理士が心理学を用いてフラワーアレンジメント作品を提案していくブログ

フラワーアレンジメントとマインドフルネス

フラワーアレンジメントとマインドフルネス

 

フラワーアレンジメントがもたらす効果について,最近の自分の体験を通じて主観的に考えてみます。

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先日,生花を使ったものとアーティフィシャルフラワーを使ったものを作りました。生花を使った方は2種のカーネーションスターチス,そしてイタリアンルスカスを用いたアレンジメントです。もう一方は,アーティフィシャルフラワーを用いたカゴバックで,メインのお花はラナンキュラスアジサイです。


さて,この二つを作る過程で経験した感情について考えてみます。
まず,共通点として,作っている際中に「集中して無になっていた」ことが挙げられます。どの花を使おうか,どの色を使おうか,どれをどこに配置しようかと思考を巡らし,出来上がりを想像しながらただひたすら作りました。その間,昨日の困った出来事や明日の仕事のことなど一切考えることはありませんでした。これは心理学でいうなら「マインドフルネス」の一種と考えられます。


「マインドフルネス」とは,簡単に言うなら「今のこの瞬間に注意を向けること」です。似ているものとしては,日本の「禅」や「瞑想」を想像してもらうと良いかもしれません。


例えば,日本マインドフルネス学会は「今,この瞬間の体験に意図的に意識を向け, 評価をせずに,とらわれのない状態で,ただ観ること」と定義して,“観る”については「見る,聞く,嗅ぐ,味わう,触れる,さらにそれらによって生じる心の働きをも観るという意味である」とも示しています。またこれは認知行動療法と呼ばれる心理療法の一種で,特にうつ病や不安障害に効果がるという科学的根拠も示されており,欧米でさかんに用いられている技法です。「今のこの瞬間に集中する」練習をして成功すれば,例えば,うつ病の人がネガティブな考えや気持ちに陥ったまま出られないでいる状態を救ったり,そのような状態を繰り返すことを予防することにつながると考えられています。


 さて,フラワーアレンジメントに話を戻しますが,突然「禅」や「瞑想」をして「無になる」って難しいですよね。そんなことをしたら,私の場合,いろいろな悩みや心配ごとが頭を巡り巡って,むしろ抜け出せなくなってしまいそうです。そんなわけで,なにか目の前のことに集中する,つまりお花をどのように使って作品を作り上げようかと夢中になることで日頃の煩わしいことからひと時でも解放されるという意味で,フラワーアレンジメントにはセラピーの効果があると言えるのかもしれません。
 一つ目の共通点で長くなってしまいました。


続きは次回に。